予備調査って?③
皆さん、こんにちは。JMDCの寺島です。
11月は学会に久しぶりにリアルで参加する機会が多くありました。私たちの業務上、日本臨床疫学会や日本薬剤疫学会、日本医療情報学会などに参加をしましたが、どの学会もとても多くの人が集まり、盛況だったかと思います。オンライン開催という新しい形式もありますが、やはり対面で話をすることの良さもあると感じています。(馴染みのある学会だと同窓会のような感じもありますが(笑))
私たちの立場からするとクライアントさんとコミュニケーションを取れる場でもあります。今回、印象的だったのは、いつもWEB会議でお話をしている方々とリアルでご挨拶できたところでしょうか。マスクをしているので、声をかけられたり、名札を見て声をかけさせていただいたりという感じでした。
また、学会は同業者の情報交換の場でもあるような気もしています。最近はデータ提供されている企業さんも増えてきて、そして様々な特徴のあるデータが出てきています。データ活用をする上ではきちんとデータの特徴を押さえることは基本となるので改めて勉強をしなければならないと考えています。
学会の内容等は折を見ながら、このコラムでも取り上げてみたいと思います。
さて、データベース研究の取り組みにおける予備調査について今回は3回目となります。(予備調査の話題は今回で一息入れたいと思います)
JMDCの保険者データならではのアプローチ ~患者を追跡した情報をまとめる~
以前、このコラムでも書いていますが、保険者ベースのデータは追跡性があると言われています。その特徴を最大限活かしたものが、図1のようなイメージです。
図1
「COOに聞く!」コラムにも詳しくありますので、そちらを参照にしていただければと思います。
このアプローチですが、実態がよくわからないような疾患を調査するような場合、例えば、治療が確立されていない、どんな検査が行われているのかよくわからない、診断前後でどんな状況なのかを知りたいなど、まずはデータを見てみるという観点で行うことが多いです。
レセプトデータは当該患者さんが医療機関を受診した際の費用を請求するための情報になります。ここには診療報酬に基づいて、検査や処置、処方された医薬品などが記載されます。
記載されている内容の解釈において注意しないといけないことは、これらの情報は、レセプト記載の病名に紐づいている情報ではないことがあります。
その上で、まずは、どういった情報を出力するのかという検討を始めます。この検討はさまざまな方法があります。
データだけで検討してみる
外部の有識者(当該の領域に詳しい臨床医であったりすることが多い)からの 情報収集
2の情報収集はデータを軸にした議論ではないので、理想的にいえば、1と2を組み合わせて実施することが望ましいかと思われます。とはいえ、すぐに臨床医に確認できないこともあるかと思いますので、まずは、調査をする立場の知り得る情報で1のアプローチがリーズナブルかと思います。
さて、そこで行う検討ですが、端的に言うと、膨大な情報を
どんな情報をアウトプットするのか
その情報をどうカテゴリ化するか
この2点を押さえることが重要です。治療実態を把握する調査方法はさまざまあります。その中の一つが、レセプトデータを用いた調査ですので、ある程度、レセプトの特徴を押さえておかないといけません。よくはじめて実施されるケースなどは、この特徴を知らずに進めてしまうこともあるので、このプロセスを踏むことは重要なこととなります。
実はそんなに難しいことをやるわけではありません。
【どんな情報をアウトプットするのか】
おそらく調査したい治療実態というのは「こんな治療をしている」「こんなガイドラインがある」などという情報があるケースが多いかと思います。例えば、治療薬を見るときもその病気に使用される治療薬というのは絞られるケースが多いかと思いますので、まずはそういう情報整理をしてあげることが重要です。
どんな治療をしているのかまったく見当がつかないというケースは、診断のあるときの情報を「横断的に」集計してしまうと、傾向が見えてくることも多いので、あまり複雑に考えず、シンプルに集計をすることから始めるのもいいかと思います。
【情報をどうカテゴリ化するか】
アウトプットしたい情報の整理ともにカテゴリを作ることも重要です。ステロイドを例にしてみるとわかりやすいかもしれませんが、ステロイドは種類がたくさんありますが、カテゴリの作り方としては、「投与経路による区別」「成分による効果の強弱」などで区別していくことがある というようなイメージです。最近は同じ薬効群の中でもいろいろな種類の薬剤があるため、それをすべて出してしまうと情報量がとても多くなってしまい、結果を考察したりすることが難しくなってしまいます。ですので、最初はできるだけ少ないカテゴリを作って、そして少しずつ見たい項目を増やしていくということが良いのではないでしょうか。
すでにお分かりかもしれませんが、1回の集計ですべてを把握することは困難です。こうした段階的に集計を重ねることで、膨大な情報をまとめていくという作業がとても重要になるということになります。
最近は製薬企業も希少疾患に注力をしていることも多くなりました。希少疾患は残念ながらまだ治療が確立されていないケースなどが多くあります。レセプトはあくまでも保険請求(治療として認められているもの)の情報です。そのため、見えてくる情報には限界があるという点は忘れずに調査をしていく必要があります。
もう少し詳しくお聞きになりたいという方は、ご連絡いただければと思います。
お問い合わせはこちら:E-mail gterashima@jmdc.co.jp
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