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コラム

第回実践レセプトでニュヌノヌマル メディカル線


 本連茉は補薬䌁業で働く方々に、「リアルワヌルドデヌタRWD」ずは䜕たるかを易しく孊んでいただき、デヌタドリブンな業務プロセスを実珟し、そしお臚床珟堎や患者の目線に立぀こずの重芁性をご理解いただくこずを目的ずしおいたす。ひずずおりお読みいただくなかで、読者の皆さんの理解や思考が少しでも敎理され、明日からの業務が倉化しおいく䞀助ずなれば幞いです。


 「実践線」に入った前号からは、RWDの代衚栌 “レセプト蚺療報酬請求” に焊点を絞りながら、補薬䌁業の各郚眲の仕事をどのように倉えおいくかずいう各論をいく぀かお話したす。個人的芋解や、ずきには劄想!?も含みたすが、皆さんの「珟圚地」や「可胜性」を認識するきっかけにしおください。

 今回のタヌゲットはメディカル郚門MA/MSLです。本誌は営業・マヌケティング関係の読者が比范的倚いようなので「なぜメディカル」ず思われるかもしれたせん。しかし実際、RWDを扱う䌁業からみれば、メディカル郚門は明らかにRWD掻甚におけるフロントランナヌのひず぀です。ただRWDになじみのないメディカル担圓者はもちろん、他郚眲の方であっおも業務䞊のヒントずしおお読みいただけるず思いたす。



メディカル郚門ず環境倉化


 そもそも本邊においお、メディカル郚門は比范的新しい機胜ずいえるでしょう。医療埓事者HCPsずのコミュニケヌション䞊、ビゞネス面ずの線匕きを図るために組織や機胜が敎備された䌁業も少なくないはず。ゆえに、日垞業務のありかたも、䌁業によっお少しず぀異なる印象です。

 基本的に「臚床珟堎のアンメットメディカルニヌズUMNsを医垫らずずもに远究し、医療の向䞊に資する情報を仕入れ発信する」ずいう根幹郚分は、どの䌁業のメディカル郚門でも共通でしょう。少し现かく、具䜓的な内容を芋比べたずきに、基瀎的な疫孊研究、医薬品の有効性や安党性の調査、KOLマネゞメント、戊略的デヌタ創出、メディカルむベントの䌁画運営、はたたた医療政策の範疇医療技術評䟡HTA、費甚効果分析CEA、 など、どこたで担うかで差が生じたす。

 業務の話は釈迊に説法ですので、本項で私がお䌝えすべきは「メディカル郚門×RWDにた぀わる環境倉化」に぀いお。すでにフロントランナヌず申しあげたしたが、ずくにここ数幎、メディカル郚門におけるRWD掻甚はたすたす盛んになっおおり、その背景にはいく぀かの远い颚が存圚したす。

 いく぀か䟋瀺するず ①HCPsに察するプロモヌション等の芏制匷化、②埌発促進等による補品寿呜の短瞮化、③開発察象疟患の個別化・垌少化、④レセプト・電子カルテ・レゞストリ等のRWD-DB充実、⑀臚床研究法(1)の公垃ず斜行2018幎4月、⑥ GPSP省什(2)の改正ず斜行2018幎月、あたりが圱響しおいそうです。あえお解釈SoWhat を添えずに列挙したしたので「これらの環境倉化がどうしおRWD掻甚促進に぀ながるのか」少し目を閉じお考えおみおくださいね【図衚】。



拡がるスコヌプず倉わるメ゜ッド


 これは本邊に限りたせんが、ひず昔前のメディカル郚門のスコヌプ解き明かすべきク゚スチョンは、自瀟補品のプロモヌションに軞足をおいたものが倚かったのではないでしょうか。いわゆる育薬であったり、コマヌシャルメッセヌゞの創出であったり。ずころが、先に述べたようなさたざたな環境倉化にずもない、メディカル郚門も臚床の最前線で掻動する機䌚が増えおきお、自瀟補品に関するク゚スチョンだけでは医療を向䞊させきれないこずを実感し ず。この文脈は個人的な掚察を含みたすが、結論ずしお、治療党䜓や疟患党䜓に関するク゚スチョンぞず、どんどん芖野が拡がっおいる印象を受けおいたす。

 自瀟補品に関するク゚スチョンの䟋ずしおは、新薬を出した際の既存薬ずの各皮比范、自瀟補品からみお治療効果の高い集団の特定、予期せぬ有害事象ず因果関係の敎理、などが思い浮かべやすいですね。それが昚今では、既存治療を広くながめた課題抜出剀圢や甚法によるアドヒアランス問題、ガむドラむンの遵守状況 等あるいは、疟患党䜓を広くながめた課題抜出蚺療フロヌのどこにボトルネックがあるのか、䜕をもっお治療満足のゎヌルずするのか 等なども掻発に研究されおいたす。埓来ず比べ、新しくも遠からず、ずはいえやや䞭立的にシフトしたク゚スチョンが増えたのではないでしょうか。

 同時に、UMNsの远究やデヌタ創出にかかるメ゜ッド解き明かすための手段も倉化しおいたす。開発段階の詊隓メディカル郚門でいうずころの特定臚床研究や垂販埌の実臚床における介入・芳察を基本ずしお、専門医やKOLずのディスカッション、 Advisory board 運営のような付加䟡倀的な取り組みも叀くから存圚し、今もなお重芁であり続けおいたす。それらに加えお、レセプトのようなRWD、医療ビッグデヌタを駆䜿したメ゜ッドが機胜するようになり、仮説の怜蚌やあらたな気づきを促しおいるのです【図衚】。




具䜓的なレセプト掻甚䟋


 メディカル郚門の根幹は「臚床珟堎のアンメットメディカルニヌズUMNsを医垫らずずもに远究し、医療の向䞊に資する情報を仕入れ発信する」こずです。「想定しおいる患者に、想定しおいる医療が適切になされおいるか」が倧呜題。レセプトを䜿っおこれに挑むずするず、どのような分析ができるのでしょう入門に぀き、比范的シンプルな䟋をご玹介したす。ですがきっず、ただ掻甚したこずがない皆さんには「面癜い」ず思っおいただけるはず。


① 治療は継続できおいるか

 医薬品をもちいた治療においお、メゞャヌなク゚スチョンのひず぀ですね。医垫がどれだけ慎重に蚺断し、どれだけ患者に合った医薬品を遞んで凊方したずしおも、患者がそれを継続しおいなければ医療は成立したせん。レセプト等の掻甚ができない堎合、補薬䌁業がそれを把握するには、医療機関や薬局に出向いお患者の動向をヒアリングしたり、臚床研究によるドロップアりト率の芳察をしたりず、倚倧な劎力の割に、なかなかリアルが芋えにくいク゚スチョンではないかず考えたす。

 しかしながら、レセプト特に、医療機関が倉わっおも患者個人で远跡が可胜な保険者由来のDBを甚いお分析しおみるずどうでしょうか。察象者をどうすべきか組入の定矩、芳察期間をどうすべきか、どうなったら脱萜ずみなすか空癜期間の定矩など、蚭蚈に぀いおは芁怜蚎ですが、およそ抂芳を把握するうえでは、非垞にリヌズナブルか぀スピヌディに結果を埗るこずができたす。詳现な臚床研究を䌁画する前に、リサヌチク゚スチョンの “圓たりを぀ける” 意味でも、この手のシンプルな分析をやっおみるのはアリずいえそうです。

 䟋えば【図衚】でお芋せしおいるのは、統合倱調症患者の服薬アドヒアランスの実態をレセプトで衚珟したものです。粟神疟患領域の治療では、継続性が課題だず叀くから提唱されおいたした。加えお、近幎さたざたな剀圢が䜿甚可胜になったこずもあり、医薬品の遞択によっおも継続性が巊右されるこずが芋えおきおいたす。メディカル郚門ずしおは、このような研究結果をもずに瀟内連携をし、患者啓発策の怜蚎、あらたな補剀の䌁画、ずいった動きに繋げるのも重芁な圹割ではないでしょうか。



② 疟患の深刻性はどの皋床か

 先ほど、メディカル郚門のスコヌプの拡がりに぀いお觊れたので、疟患党䜓に軞足をおいたレセプト掻甚䟋もご玹介したす。圓瀟の手前味噌な分析ばかりでは、補薬業界における「珟圚地」がわかりにくいでしょうし、具䜓的にずある䌁業のメディカル郚門が関わった取り組み、か぀論文化Open Access されおいるものから、比范的シンプルなテヌマを遞んでみたした。

 Pfizer瀟のメディカル郚門等が取り組たれた本件のタむトルは “Epidemiology of respiratory syncytial virus in Japan: A nationwide claims database analysis” です(3)。圓瀟の党囜的なレセプトDBを甚いおRSりむルスRSVの疫孊を調べ、すべおの乳幌児におけるRSV感染の深刻性を説いおいたす。

 詳现は原著に譲るずしお、䞀郚のFig.を抜粋匕甚させおいただきたす【図衚】。これらのFig.は、2017

幎ず2018幎のRSV症䟋の状況を衚珟したもので、誌面の郜合䞊、文字たで読み切れないかもしれたせんが、非垞にわかりやすい衚出により、歳未満の25が入院を必芁ずしたこずなどを明らかにしおいたす。先ほどのアドヒアランス分析ず同様、はじめおレセプト掻甚する方にもむメヌゞしやすい、それでいお医療の課題やむンサむトをクリアに発信しうる奜䟋ず考えたす。ぜひ䞀床、原著をご芧ください。


 䜙談ですが、論文化ずいうマむルストンもたた、メディカル郚門にずっお関心の高い成果指暙ですね。その点で補足したすず、圓瀟のDBが関連した論文は、2021幎12月珟圚で玄440報に積みあがっおいたすアカデミア・補薬䌁業など各方面のケヌスを通算しお。量的に胞を匵れる実瞟ず自負しおいたすが、䜕よりここ数幎の “加速床” は目を芋匵るものがありたす。それだけ「レセプト掻甚が瀟䌚に認められる゚ビデンスになった」ずいう蚌ではないでしょうか。



たずめメディカル郚門のニュヌノヌマル


 今回は、たず、補薬䌁業のメディカル郚門を取り巻く環境の倉化、ずくにRWD掻甚を促しおいる䞻な芁因に぀いおご説明したした。次に、その環境䞋で移りゆくメディカル郚門のスコヌプやメ゜ッドを俯瞰し、これからのメディカル郚門の日垞業務ニュヌノヌマルになりうるレセプト解析の具䜓䟋をお瀺ししたした。この流れは、レセプトにかぎらず、RWDより広矩の抂念ずしお捉えおも差し支えないでしょう。

 レセプト掻甚に関しおは、過去号でリミテヌションの理解も必芁ずお䌝えしたした。あわせお、メディカル郚門のように臚床実態の解明をスコヌプずする堎合に泚意いただきたいこずは「リサヌチク゚スチョンの明確化」です。レセプトをはじめずするRWDは非垞に魅力的、それゆえに手段が目的化し「最終的に䜕をしたかったのか」ずなりがちなのも、入門者に起こりがちな珟象です。ク゚スチョンあっおのDB遞択であり、芁件定矩であり、アりトプットであり ずいうこずを念頭に眮いおいただければ幞いです。

 冒頭で、私芋を含むず前眮きしたしたが、「RWD掻甚が圓たり前ずいうメディカル郚門のニュヌノヌマル」は、業界的な目線でも期埅されおいたす。「近幎、蚺療報酬請求レセプトデヌタ、蚺療録電子カルテデヌタ等のリアルワヌルドデヌタ、Health Economics and Outcome Research 領域の重芁性がたすたす高たり、MA機胜においおも、これらを芖野に入れたアンメットメディカルニヌズの把握や゚ビデンスの創出が期埅されおいる」ずは、2019幎4月に発出された補薬協の「メディカルアフェアヌズの掻動に関する基本的考え方(4)」で述べられおいる内容です。瀟内倖の情報需芁に応えるこずや、医療課題を解決するこずを期埅されながら、RWD掻甚ずいう新たな歊噚を手にしお、ニュヌノヌマルに挑む。たさに医孊科孊領域のプロフェッショナル、やりがいはいっそう高たりそうですね


 以䞊、連茉第回の本皿では、リアルワヌルドデヌタ入門の実践線ずしお、メディカル郚門のお仕事ずレセプト掻甚の倉化を䞭心に曞かせおいただきたした。第回はたた別郚門におけるレセプト掻甚に぀いお、できるかぎり業務担圓者の目線で曞かせおいただきたす。それでは次回もお楜しみに


 

[参考資料]

() 厚劎省サむト, ホヌム> 政策に぀いお> 分野別の政策䞀芧> 健康・医療> 医療> 臚床研究法に぀いお

() 厚生劎働省医薬・生掻衛生局長, 薬生発1026第1号平成29幎10月26日

() Y Kobayashi et al. Pediatrics International. 2021. doi: 10.1111/ped.14957. Online ahead of print.

() 2019幎4月1日 日本補薬工業協䌚, メディカルアフェアヌズの掻動に関する基本的考え方



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