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医療経済・医療費分析

腎移植医療の「現実的なコスト構造」を描く

― 大規模レセプトデータが見せた、移植後の医療費の推移 ―


原著名:

The estimation of healthcare cost of kidney transplantation in Japan using large-scale administrative databases

出典: Clinical and Experimental Nephrology (2025) 29:350–358 doi.org/10.1007/s10157-024-02551-1

Masataka Hasegawa , et al.

本記事は生成AIを使用して作成をしています(2025/11/12)

研究のポイント

  • 移植後1年目の平均医療費は、生体腎移植で約663万円、献腎移植で約684万円。

  • 2年目以降は安定化し、それぞれ約174万円・135万円に減少。

  • 初年度は入院費が全体の7割を占め、以降は薬剤費が主な構成要素に。

  • エベロリムスの使用が医療費上昇と関連し、男性患者では2年目以降の費用が低い傾向。

腎不全患者にとって「腎移植」は、命を支える最も有効な治療法の一つですが、その医療費は長期にわたり多額となり、国全体の医療費にも影響を与えています。これまで日本では、移植医療の費用を全国規模で分析したデータは限られていました。腎移植を受けた101人の医療費を詳細に解析し、生体腎移植(LDKT)と献腎移植(DKT)それぞれのコスト構造を明らかになりしました。

研究の背景

腎代替療法(KRT)の中で、腎移植は透析に比べて 医療経済的に「21〜88%低コスト」とされる治療法です。 しかし、これまでの日本の研究は単一施設データに基づくもので、 全国的な費用構造を把握するには限界がありました。本研究では、約1,700万人超の保険加入者を対象とするJMDCデータを活用。 多施設・全国規模での腎移植後コストの実態を、 初めて定量的に示しました。


分析と結果か見えてきていること

この研究から見えてきたのは、「移植後の医療費は初年度に集中し、その後は安定的に低下する」という実態です。また、薬剤費が長期的なコストの主因であることから、今後は免疫抑制療法の選択と薬剤管理が医療経済に直結することが示唆されます。

さらに、エベロリムス使用や性別差といった要因が費用に影響することが明らかとなり、個々の患者特性に基づく医療費予測モデルの構築可能性も示されました。この成果は、腎移植を含む腎代替療法の費用対効果分析(HTA)の基礎データとして、今後の政策決定や医療資源配分の最適化に重要な示唆を与えます。

原著論文はこちら

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