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公衆衛生への貢献・保険者への還元

あなたの腎臓は大丈夫?10年後の腎機能低下をAIが予測!

~健診データとAIが可能にする、慢性腎臓病(CKD)の早期ハイリスク者予測~


原著名:

Estimating and Predicting the Rate of Kidney Function Decline over 10 Years in the General Population

出典:Kidney360. 2024 Dec 1;5(12):1862-1870. doi: 10.34067 Masao Iwagami, et al. 

本記事は生成AIを使用して作成をしています(2025/9/12)

研究のポイント

  • 過去5年間の健診とレセプトデータを用いて、その後の10年間の腎機能低下率をAI(機械学習)で高い精度で予測できることを示した画期的な研究。

  • 特に、将来透析に至るリスクが高い**「腎機能の急速低下者」を早期に発見できる**可能性を示した。

  • この予測モデルは、JMDCデータベースが持つ、個人の健康状態を長期にわたり追跡できるという特性を最大限に活用することで実現した。

 

研究の背景:「静かなる臓器」腎臓の病気をいかに早く見つけるか?

慢性腎臓病(CKD)は、自覚症状がないまま進行し、気づいた時には人工透析が必要な末期腎不全に至ってしまうことが多い、非常に怖い病気です。そのため、将来的に腎機能が悪化するリスクの高い人を、いかに早い段階で見つけ出し、介入(保健指導など)につなげるかが大きな課題でした。

本研究は、毎年蓄積される健康診断のデータとAI技術を組み合わせることで、この課題を解決できるのではないかという仮説のもと、個人の10年後という長期の腎機能低下率を予測するモデルの開発に挑みました。

分析と結果

1. 10年分のデータでAIを訓練し、未来を予測

JMDCデータベースの中から、2012年から2021年までの10年間の健診・レセプトデータが揃っている人を対象に分析を行いました。

具体的には、最初の5年間(2012~2016年)の健診結果や処方情報などをAIに学習させ、その人が10年間でどれくらい腎機能(eGFR)が低下するかを予測するモデルを構築。その予測精度を、実際の10年間のデータと比較検証しました。

その結果、AIモデルは、将来の腎機能低下率を高い精度で予測できることがわかりました。

  • INPUT: 過去5年間の健診結果(血圧、血糖、コレステロール、尿蛋白など)と処方情報

  • AI MODEL: 膨大なデータから腎機能低下につながるパターンを学習

  • OUTPUT: 将来の腎機能低下リスクを個人ごとに予測し、特に注意が必要な「急速低下者」を特定


2. 「急速低下者」の早期発見という大きな価値

このモデルの特に重要な点は、10年間で腎機能が平均(-3 ml/min/1.73m²)を大きく超えて低下する「急速低下者」を、高い確度で特定できることです。

これまで「なんとなくリスクがありそう」としか言えなかった人々の中から、「特に重点的な介入が必要なハイリスク者」をデータに基づいて科学的に絞り込むことが可能になります。 

 この研究から言えること

本研究は、毎年受ける健康診断のデータが、その場限りの評価で終わるのではなく、AIと組み合わせることで「個人の未来の健康を予測する」ための貴重な資源になることを示しました。

保険者(自治体、健保組合など)にとっては、この予測モデルを活用することで、限られたリソースを真に介入が必要なハイリスク者に集中させることができます。これにより、将来の透析導入者を減らし、個人のQOL(生活の質)向上と、長期的な医療費の適正化の両方に大きく貢献することが期待されます。

JMDCデータベースが持つ「継続性」と「網羅性」という価値が、AIという新たな技術で検討した先進的な事例と言えるでしょう。

 

原著論文はこちら

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